この作品はR指定ものです。
エロ有りなので、自己判断でお読みください
Seduced
その日ボクは降りしきる雨の中、一人で町を歩いていた。傘も持たず、目的も持たず、ただその雫とともに自分も流れていってしまえばいいのにと思いながら―・・・。
「君、何してるの?」
ぼんやりと近くの公園のベンチにうずくまっていたら中年の男性に声をかけられたみたい。傘を差して公園のライトの逆行もあって、ボクには表情を伺うことはできなかったけど、心配しているわけじゃなさそう。
「ここにいたら風邪引くよ?濡れないところ、一緒に行こうか」
そう言ってボクの手を掴んだその人は少し強くボクを引っ張るとベンチから立たせる。ボクは何も答えないままされるがままになって、その人に付いていく。
少し行くと繁華街でいろんな人が傘を指して歩いている。ずぶ濡れのボクを見て近づかない人が大半で、今の状況を訝しんだり、笑ったり色々な噂をしているんだと思う。そんなことを考えていると軽く何かにぶつかったような振動を感じた。
「いってぇなっ」
一緒にいる人にぶつかったみたいで立ち止まった。
「すまない、キョロキョロしてて・・・」
慣れた感じで謝り始める。ぶつかった相手は強面なのかもしれないと思っていたら、その人がボクの名前を呼んだ。
「ゆ、うぎ・・・?」
あぁ・・・バクラ君だ。
バッと中年の人を押しのけるとボクの襟を掴んだ。下を向いていたボクの顔を上げられる。
「何やってんだよ!」
ボクを見つめる目は少し怖くて、怒っているみたいだ。ボクが何も答えないでいると押しのけられた人はバクラ君を睨んだ。
「君、その子を離しなさい」
「うるせぇな、オレ様は遊戯に用があんだよっ!!」
睨み返すとボクの襟を掴んだまま引っ張っていく。後ろで何か言っていたけどバクラ君は足を止めなかった。
「なについて行ってんだよ」
襟から手を離すと今度は腕を思いっきり掴む。何も変化がないボクに呆れたのかため息をついた。
「今からオレ様の家に来い」
確認のための一言だったのかもしれない。すぐ前をむかれて表情はわからない。だけどボクは黙ったままだった。何も考えたくなくて流されていたいと思ったから。
「着いたぞ」
15分くらいたったのかな。着いた先は5階建てのマンションの最上階で、一番奥の廊下の先だった。部屋は生活感がない程綺麗で何もなかった。玄関でボクの服を脱がせる。濡れた服はバクラ君に持っていかれてしまった。下着姿のボクは少し期待していた。
「風呂入れ」
想像とは違う言葉だったけれど、大人しく従った。
「ぼんやりしやがって・・・」
後ろからバクラ君がそういった。でも急ぐ気もなかった。
湯船にはなぜかお湯がもう張ってあって、手で触れると温かかった。そっと中に入る。少し、落ち着いてきた。
しばらくしてお風呂から出て脱衣所を見ると服が置いてあった。これを着ろってことなんだと思う。ボクの服ではなかったけれど。
「バクラ君・・・」
部屋に戻るとソファーに横たわるバクラ君をみつけた。瞼を閉じていたのも束の間、すぐ目を開けてボクのところへ来た。
「ちょっとは元気になったか?」
ボクは小さく頷いた。
「海馬と何かあったのか?」
ボクは首を横に振った。そうじゃない・・・そうじゃなかった。
「ま、何でもいいか」
興味をなくした訳じゃないだろうけど、きっとバクラ君が何も聞かないのは優しさだと思う。
「もうこんな時間だから今日はここで寝ろ」
シングルベッドが一つ。一人暮らしなんだから当たり前なんだろうけど・・・。
「バクラ君は・・・?」
「オレ様はアレで寝るから」
それはさっきまで横たわっていたソファーだ。ボクは思わずバクラ君の手をとった。少し驚いた顔を見た気がする。
「一緒に・・・お願い・・・」
しばらくバクラ君はボクを見つめていた。その表情は少し強張っていたけど、ぱっと優しい笑顔に変わった。
「ったく、しゃーねぇな」
頭をポンポンと叩かれた。先にベッドに転がる。壁際のほうを向いてバクラくんは横になった。ボクはそっとバクラ君の隣に寝た。
Bakura SIDE
なんで声をかけちまったんだろ。
背中越しに遊戯がいた。なんであんなオヤジと一緒にいたのかはわからねぇがちょっと気に食わなかった。何処に連れて行かれるともわからないのにのこのこ付いていきやがって・・・。海馬とは何もないって言ってるが本当かどうか定かじゃねぇし、遊戯は結構隠すタイプだから当てにならねぇし。
この狭いベッドで二人で寝るのはキツイ、断れなかったオレのせいだな。たぶん反対向いて小さい遊戯を抱きしめれば楽なんだろうけど、さすがにそれは・・・。
「・・・バクラ君」
小さい声で呼ばれた気がした。
「ん?」
また小さい声なんだろうと思って、オレは身動き一つとらず物音を立てず次の言葉を待っていた。
「手を握ってもいい?」
こいつは何を考えているんだ。オレは期待してしまいそうになる。
「嫌なら・・・」
「別に、ホラよ」
結局、向き合う形になった。握りやすいほうの手を差し出すと遊戯はそっと手を合わせてきた。その手に顔をうずくまらせて、オレの目の前にはかすかに香る髪が現れる。その髪にキスをしたくなる。そして、もしあのオヤジにも同じようなことをしていたのかと考えるとイライラしてきた。
「遊戯・・・」
なぜオレが我慢しているのか。この状況で悪いのはどちらか。
モヤモヤしているのはオレの嫌いなことだ。遊戯は何を考えている。
気が付いたら手の甲に柔らかいものが触れていた。温かいそれは遊戯の唇。もう我慢なんていらないと思った。握っていない手で遊戯の髪に触れる。キスをする。優しくその髪を撫でるとオレを見てきたその唇を奪ってやった。
「・・んっ・・」
遊戯の声が吐息と共に聞こえた。それはオレを誘惑するのに十分だった。
「抵抗しねぇな」
首筋にキスをして舐めてまたキス。髪を撫でていた手も肩から滑るように下へと降りていく。腰に触れた瞬間遊戯の体が跳ねた。オレの手が冷たかったのもあるかもしれない。シャツを上へと捲っていくと胸の上に小さな突起が見えた。あぁ、何度も弄ばれているだろうそれは可愛らしく、オレはまたイライラした。
「あっ・・・んっ・・・んっ」
舌先で転がすと敏感なのかすぐに反応して声を出してくる。すべすべとした体を触っていたくて腰を撫で続けるとまた跳ねた。
「感じやすいんだな・・・」
顔を見るとそこには上気して潤んだ瞳が切なげにオレを見た。”もっと”と言ってる気がして執拗に胸を責める。繋がれた手は遊戯の反応するたびに握り返される。
「どうして欲しいか言えよ」
そう言うと遊戯は目を見開いた。この期に及んで恥ずかしいのかよと悪態を心の中で付き、それでもオレは答えを求める。戸惑った顔をする遊戯を促すかのようにズボンの上から遊戯のものを撫で続ける。きっともどかしいだろうな。誇張してるのは一目瞭然でもしかしたら直接触れれば濡れているかもしれない。遊戯は我慢できなくなったのか唇を動かした。
「っ・・・して・・・ボクを・・・犯して」
あぁ、すごくこいつが欲しい。
乱暴にズボンと下着を脱がす。案の定我慢できなくなった遊戯のものは先から透明な液体が垂れている。「淫乱」、その言葉が浮かんだ。握った感触は温かくて親指で先を体液と共に弄ると今までとは違う声色で啼いた。
「気持ち良いか」
「んっ・・・あんっ・・うんっ・・・あぁんっ」
舌を出して、女みたいに啼いて、淫乱。その舌を絡めとるようにキスをすると遊戯も舌を這わせる。興奮する。気持ち良い。最高。
握っていた手を離して遊戯のものを弄る。そして反対の手は遊戯の股間に手を伸ばした。先走りで濡れた指先で円を描くように触れる。気持ちよさそうにヒクヒクと動く感覚は何よりも男を知ってやがる。指を入れてみると大きく跳ねたと同時に前がより硬くなった。
「はぁんっ・・・あっ・・んっ・・」
「欲しいならくれてやるよ」
遊戯を無理やりうつ伏せにさせると、服を脱ぎ捨て一気に突いてやった。
「あぁぁぁあああん・・・っ」
気持ち良かった。男を知っている割に締まっていて、痛みも何もなかった。嬌声が響くだけで痛がりもしねぇ。前も同時に扱いてやったらすぐに果てやがった。だらしねぇな。もちろんオレは終わってねぇから続けて突き続けた。
「もっ・・・イったっ・・んっ・ばかりぃ・・・っ」
「オレ様は・・・終わってねぇよ」
もっと、オレを気持ちよくさせてくれなきゃ困るぜ。誘ったのはお前なんだから。お前は海馬のもの。でも今はオレを求めたんだろ?
遊戯の声を聞いているとやめられない。自ら腰を振る遊戯は淫靡だった。
Yugi SIDE
・・・今何時だろう。
眩しいなぁ。日が差し込んでいる。
目を開けてみると見慣れない部屋の天井。ここはバクラ君の・・・。
「起きたか?」
タオルで髪を拭きながらこっちに歩いてきた。ズボンは履いてるけど上半身裸でいるとこを見るとシャワーを浴びてたんだと思う。
「おはよ、バクラ君」
「・・・おめぇもシャワー浴びて来い」
掛け布団を剥ぐとボクは全裸だった。仕方ないことなんだけど明るい場所だとすごく恥ずかしかった。そそくさとシャワーしにいく。バクラ君は変なやつだと思われてるだろうな。昨日のボクはちょっと・・・おかしかったなぁ。
シャワーを浴びる。気持ち良い。
昨日のことを冷静に思い出しているとすごく恥ずかしい。いつもと違って恥ずかしいこと言わされて、興奮しちゃって・・・うう。昨日の映像をとりあえず消し去る。思い出すと恥ずかしすぎた。とりあえずさっさと出よう。
バスタオルに顔を埋めて、髪を乾かす。結局シャワーを浴びたところでボクの全裸は変わらない。下着がない。洗っては見たけど乾くかなぁ・・・。大きめのタオルのおかげで女の子みたいに体は隠せるけど・・・。
仕方ないと脱衣所から出てみる。当然バクラ君がソファーにでも座っているかと思ったら居なかった。
「バクラ君?」
ベッドにも居ない、キッチンにもいない。
もしかしてボクを置いてどっかいっちゃったのかな。うーん、じゃあ下着が乾くように日の当たりところにっと。ベッドに座っていよう。
それにしても昨日のことどうしよう・・・。バクラ君はボクが海馬君の恋人だということは知っている。もちろん今回の件はボクが悪いからバクラ君を責めることはできないけど、海馬君に知られちゃうのかな。痕とかはついてなかったけど・・・。
そんなことを考えていると玄関のほうで音がした。あ、バクラ君だ。
「おかえりなさい」
タオルで体を隠しながら玄関のほうへ歩いていく。バクラ君は困ったような顔をしてボクに袋を突きつけた。
「コレ、着替えろ」
コンビニの袋に入っていたのは下着だった。
「これ、買いに行ってくれたの?!」
「無いと困るだろーが」
予想もしない出来事で戸惑った。バクラ君はそそくさと部屋に入ってソファーに座り込む。
「寝室にお前の服あるから」
「あ、ありがとう」
小走りで寝室に戻ると即座に着替えた。どことなく腰やお尻が痛いし、ズボンを履く時に筋肉痛を感じた。着替え終わってリビングに戻るとバクラ君はコンビにのサンドイッチを食べていた。
「遊戯も食えば」
開いてないほうのサンドイッチが放り投げられる。ぶっきらぼうな言い方だけどきっとボクの分として買ってくれたんだと思う。素直にありがとうっていうと顔を背けられた。バクラ君の隣に座ってサンドイッチを食べた。
「こぼすなよ」
「うん」
なんだか優しいな。バクラ君ってこんな優しかったっけ。
しばらく黙って食べていると先に食べ終えたバクラ君がこっちを見てきた。なんだか食べてるところを見られてるのは恥ずかしい。
「遊戯、またいつでも来いよ」
えっ。
「変なオヤジに付いていくくらいならオレ様のところに来い」
それだけ言ってバクラ君は何も聞かなかった。海馬君にも言う気ないんだと思う。
その日、そのまま帰宅した。ママには心配されたけど友達のところに泊まっていたっていった。昨日大雨で大変だったって言ったら信じてくれた。
昨日はどうしたんだろう、ボク。
寂しくて一人になるのが嫌だった。海馬君は出張でアメリカにいて、ボクは我慢できなかったのかな。なんだか最近すっごく寂しいんだ。おかしいな・・・。
コメント
海表前提のバク表。盗賊王だけにラブラブはこのサイトではないです(キリッ
バク表ってマイナーなんですかね。海表もマイナーなのかな・・・(´・ω・`)