紅葉とキャベツ






 最近、僕はよく学校に通う。もちろん勉強がしたいわけではない。
 目当ては武藤遊戯。少し二重人格的な部分も持ち合わせている不思議な少年だ。僕はどうしても彼を手に入れたいんだ。理由?そんなもの、欲しいからに決まってるじゃないか!
「やぁ、おはよう。遊戯君」
「お、おはよう・・・海馬君」
 いつもの遊戯君はおどおどしててどことなく不安そうだ。僕は苛めたい衝動に駆られてしまうことがついついあって考えるだけでもニヤついてしまう。おっと僕としたことが。遊戯が困った顔をしているじゃないか。


「遊戯君」
「うん?」
 昼休み、お腹を丁度空かせているところに、専用のコックに作らせた僕専用のランチが運ばれてくる。食堂や、弁当など今の僕の口には合わなくてとても食べられない。
「一人ならこっちで一緒にたべないかい?」
  僕は珍しく一人で食べている遊戯を誘ってみた。いつもはうるさい犬などが周りにいて近づくことはできないが、今日は違うらしい。
「う、うん。そうだね」
 少し戸惑っている様子だったが、こっちに机を近づけてきた。今すぐにでも持って帰りたいくらいの遊戯の姿は僕の心を高ぶらせる。しかし、それでは僕の満足には至らない。遊戯から僕のことを好きと言わせて見せるんだ。
「遊戯君一人だなんて珍しいね」
「皆、用事があるみたいなんだ」
「そうなんだ。今日はラッキーだな、こうして遊戯君と一緒に食べれるんだから」
 ホント、運が良すぎて怖いくらいだよ。君に最後の項目をどうしても聞きたかったんだ。今まで散々好みは調べつくしたからね。でもやっぱり僕は完璧にしたいんだ。
「そういえば最近、前髪が少し伸びたかな?」
「それってボクのこと?」
「うん、どこへ切りに行ってるんだい?」
 ここでもし店の名前を挙げるならその店を少し優遇してやっても良いかな。そのくらい僕は機嫌がいい。
「じいちゃんに切ってもらってるからなー」
「へぇー・・・おじいさんが・・・・」
 やっぱりお店じゃなかったか。おじいさんの家に何かするのは少しマズイな。あ、そうだ、こういう方法で攻めれば・・・。
「キミの髪伸ばし続けたらその形を維持できるのかな。それともしおれてくるのかな。今度やってみないかい?」
「えぇー・・・」
「僕キミの髪型気になってたんだ!」
 君の髪も大分興味深いけど、僕はもっと違うことが聞きたいんだよ。
「しおれてきたら切ったらいいんだしね」
 少し怒ったかな?強引に攻めてみよう。
「楽しみだなー・・・」
 これで何か反論か意見が飛び出てくるかもしれない。するとハッと目を見開いた後、少し眉を吊り上げた遊戯が予想通り意見を言ってきた。
「キミも茶色に染めてみたら?ボクとっても似合うとおもうよ!」
 やっぱり僕のこの色は気に入らなかったのか。ブラウンだね!
「え?そう思うかい?君がそういうなら今度してみるよ!」
「ボクとっても楽しみだぜー!」
「フフフ・・・僕もだよ」


 よし、これで完璧だ。
 しばらく遊戯には会えないけど、これで望みが叶うならその間も辛くは無い。もうしばらく待っていてくれ。君が僕を欲しいと思うくらいの男になって帰ってきてやる。その時が楽しみだな。君の心にもマインドクラッシュしてあげるよ。






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すると、枯れたキャベツのできあがり。