33、鬼ごっこ





 船旅を終えた一行。
 チェリクについたスタン一行がまずしなければいけないことは何故か「鬼ごっこ」だった。

「スターン!!負けたら承知しないわよ!!」
「なんでだよー!」
 金の亡者、もといレンズハンターのルーティに急かされて、スタンは井戸付近に居た街の子供達と鬼ごっこをすることになった。勝てばガルドが手に入ると言われれば、ルーティは嫌でも参加しなさいと意気込んでいる。
「よーい、初め!」
 子供の声で一斉に始まったそれはスタンにとって楽しめるべきものではなかった。
「皆行くぞー!」
 子供達は意外に速い。スタンは全力疾走に近いスピードで逃げなければならなかった。
「・・・あいつならすぐつかまるさ」
 ぼそっと呟いたリオンは何故か苦笑した。

 1分が過ぎた頃、上手い具合に隠れるところを見つけられたスタンは呼吸を整えていた。
(子供よりルーティのほうが怖いからな・・・)
 そんなことを思いながらちらりと視線を動かすと、子供達が何やらしゃべっているのが聞こえた。
「どうしよー」
「見つかんないよ!どこいったの?」
 女の子がひどく焦った様子でリーダー格の男の子を見上げた。
「このまま逃げられたら俺たちすごいお金あげなくちゃならないよ!」
「そんな、どうしよぅ・・・う・・・ひっく」
「泣くなよ、馬鹿!」
(うっわ・・・)
 何だか居たたまれなくなったスタンはゆっくりとその場から動いた。
「あ!あいつだ!」
「え!いけー!」
 何だかわざわざおお通りのほうへ走っていって、案の定子供達に捕まってしまった。
「やったー!」
「あははは・・・つかまっちゃった」
 困ったような顔で笑ったスタン。もちろんこれを聞いて黙っているルーティではなかった。
「あーんた!!なんでつかまるのよ!!」
「この子達速いからさー」
 能天気な声でルーティの怒りの言葉を聞きながら、ふとリオンを見た。目が合ったのに気がついたのか、小さくため息をついている。
 スタンは何だか気恥ずかしいやら、情けないやらで視線をはずした。
「・・・だからわかった?!」
「え、あ、うん」
「って聞いてたの!あんた!・・・まぁもう宿屋へ行きましょう!!」
 そう言って不機嫌のまま宿屋へ向かったルーティに続いて、皆も歩いていく。一緒に後ろを歩いているリオンに近づくと、一言こういわれた。


「スタンらしいな・・・」と。





コメント
リオスタっぽくない感じですが、まぁ特別な関係なんだということで〜。