32、あと少し








 神の眼を巡るこの旅は僕にとって、とても過酷な旅だった。

 最初にスタンに会ったとき、衝撃を覚えた。

 あいつには僕では勝てないものがあった。

 それ故に日々努力した。

 皆が寝静まっている頃、僕は番をすると言って体の鍛錬を行った。

 料理に出てくる嫌いな食べ物でさえ、鍛錬に効果があると聞けば残さず食べた。

 スタンには、絶対に負けたくない。

 そして、その努力が表立って現れるまでに3ヶ月もかかった。












「リオン、あんた、背伸びた?」
「ふふんっ」
「本当ですわ。わたくしより高くなっています」








 三ヶ月で6cmも伸びた。







「でも、やっぱスタンにはまだまだね」
「くっ・・・」









 そうだ、僕の目標はスタンを超えることだ。
 この程度で浮かれていてはいけない。








「でも、成長期なんだ。俺を越すんじゃないかな」










 当たり前だ!絶対、絶対スタンを抜いてやる。













 172cmまで後7センチ。












コメント
え、これだけ?(ブーイング