２７、戦いたくない









　今、僕達はある一つの手段に打って出ようとしていた。
「イレーヌさん！考え直してください！」
「いいえ、もう遅すぎるのよ。スタン君」
　戦闘相手はイレーヌだった。僕は倒してもいいと思っていたんだが、スタンがどうしても嫌がった。
「あなたの夢は、格差をなくし平等で平和な街をつくることだったじゃないですか！」
「だけど、現実はそう甘くないわ･･･」
　今、スタンがものすごく説得しているが、あまり効果はないように見える。
　今はただじっと二人の話し合いについてみているだけの僕だが、実は事前にこう言われていた。

「説得ができなかった場合、リオンだけが頼みの綱だ」
「それで？」
「あれしかない！」
「だからなんだそれは」
「ピコハンっ！！」
「却下！」

　だいたい、あんなしょうもない昌術を何故僕が習得するんだ。
　できるなら、説得でなんとかしてもらいたい。
『坊ちゃん、仕方ないですね。アレですよ！アレの出番で･･･ぎゃ』
「黙れ、シャル」
『は、はいー』

「仕方ないですね･･･どうしても俺の気持ちは伝わらないみたいです」
（もっと粘れ、スタン）
「そうね、こうなる運命だったのよ」
（アレも運命によるものなのかっ）
「時間が迫っているわ、覚悟しなさい！」
「イレーヌさん、俺、俺、信じてたのに！」
（じゃあもうちょっと粘れっ！！）
「リオン！出番だぁー！！！」
（キターーーー(；´Д｀)ーーーーーーー）
「ぴ、」
「さ！はやく！」
「ピコ･･･」
「何をしようとも、ここでとめて見せるわ！」
（ええぃーくそったれが！！！！）
「ピコハン！」

　ピコッ。

「･･･」
「･･･」
「どうやらMISSだ！リオン！もう一回！」
「･･･だから」
「リオン！」
「だから戦いたくなかったんだぁーーーー！！！！」

「ふむ、やっぱりフルネームじゃないと効果はないものなのか」
「ボケボケ王めっ！！」
（･･･リオンが惨めに思えてきたわ）









コメント
ピコハンって他に誰かつかえたっけ？本当に使えない昌術です。