22、宿屋








「俺らってなんかいつも宿屋にいない?」
 スタンの突然の問いにリオンはため息をついて額に手を当てた。
「そこはあえて突っ込むな。(作者の)甘い考えのせいだ」
「そ、そうか」
 リオンは何か知っているみたいだったが、スタンにはあまりわからなかった。
「それに・・・」
「それに?」
「僕は宿屋であるほうが、都合がいい」
 リオンはスタンの腰を抱き、自分のほうへ引き寄せた。
「リ、リオン?!」
「お前といつも一緒に居るのに何もさせてもらえない。そろそろ我慢の限界だ」
「ちょっと、ちょっとちょっと・・・」
 スタンは一生懸命顔を離そうとしてみたが、結果的に押し倒される形になってしまった。
「スタン・・・」
「リオン・・・」
 唇と唇が静かに、触れ合っ・・・。
「リオンさーん、スタンさーん!!あのですねぇ〜皆さんが・・・」
「チェ、チェルシー!!」
 バッと離れたスタンは赤面かつ大慌てで手を振った。チェルシーは一瞬固まったかなと思った瞬間、にっこりと笑顔を見せた。
「やですよぉ〜、どうせ言い合いしててこけたんでしょ〜、私はそんな子供みたいに騒いだりしませんって〜!まさか、キスしてたなんて思うわけじゃないですかぁ〜!それよりウッドロウ様が呼んできてっていうから来たんですぅ〜」
「そ、そうか!ありがとう!」
「ふんっ」
 スタンは少し引きつった笑みを返して去っていくチェルシーの後姿を見送った。居なくなったことを確認したスタンははぁーっと大きなため息をついた。
「心臓が止まるかと思ったよ、リオン、こんな場所でするのはやめてくれ〜」
「・・・」
「はぁ・・・」
 それからはリオンも宿屋で襲うことはなくなった。




 しかし。





「えー!またあんたの家にいくの?」
「宿代が浮いていいだろう。祖始竜で行けばすぐだ」
「それは賛成だけど・・・」
(・・・だからってノイシュタットから行かなくても・・・)
 これ以降リオンの称号に「守銭奴」が追加された。









コメント
「いつも一緒」「宿屋」どっちにしようか迷いました。