17、王国騎士
「俺達に会う前のリオンの夢ってなんだった?」
暗がりの道を歩く二人。考えもしなかったスタンの質問にリオンは困った顔をした。
「夢?・・・僕はヒューゴに言われたとおりに生きてきたからわからない」
「じゃぁ、もし自由に生きていたらどう生きたかった?」
(どうと言われても・・・)
「マリアンと何処かでのんびりと暮らしたかったとでも思うんだろうか」
「そっか」
「スタン、お前はどうなんだ?」
「んー、俺?」
もう考えが決まっているスタンは笑顔で答える。
「もっちろん、リオンみたいにセインガルド兵士、いや、王国騎士になることだよ!」
「ああ」
そう言えばそうだったと納得して、ふと思いついた。
「じゃぁ、何故ならなかった。お前ならなれたはずだ」
「そーなんだけどさ、旅がしたいって思うようになったんだ。その、リオンと二人で」
「・・・」
「今みたいに・・・。あ、右から音がするから右へ行こう」
進んでいた道を右へ曲がると突き当たりは左右に分かれていた。
「今は旅じゃない」
「そうだけどさ、どっちに行く?」
スタンが左右に目を動かす。
「左に行ってみよう」
「うん」
次第に明るくなっていく道に二人は少し安心した。
「でも、一つ道が変わっていたら俺達はセインガルドで一緒に活躍していたかな?」
「いきなりだな。・・・そうかもしれないな」
「それなら、それでも良かったかもな」
「・・・」
「あ、波の音が聞こえる、リオンやった!」
「もうすぐだな」
二人の正面には眩しいくらいの光が見えた。
「ふぅ、やっと出たー」
目の前の空は雲ひとつない晴天。二人は浜辺へと向かうとそこに座りこんだ。
「後は迎えを待つだけだな」
原っぱと工場しかないこの島で二人は互いに笑った。
「ありがとう」
「え?」
おもがけない言葉にスタンは驚いた。
「そんなに驚かなくてもいいだろう。お前のおかげで助かった」
「・・・俺、リオンが居なかったら生きて帰ってない」
スタンは俯いてそう言った。長い沈黙が二人を覆ったが、リオンが先に口にした。
「スタン、この旅が終わったらお前の夢を叶えてやる」
「え?」
「だから、絶対生きて帰ろう」
「ああ!」
それから二人が待っていた迎えの船が来たのはしばらく経ったころだった。
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意味わからなくてすいません。