16、リオン








「でさ〜、リオンがまた一人でどっかいっちゃうんだよ〜。船で旅してたときも、飛行竜に乗ったときもさ〜。みんな心配してるんだけど、「僕の心配など無用だ」とか言っちゃってさ」
 先ほどから話を聞いていたリリスは「はぁ・・・」とため息をついた。
「お兄ちゃん!」
「ふへ?」
「さっきから「リオン」って子の話しかしゃべってないこと気づいてる?」
「・・・ええ!?」
「はぁ・・・」
 (とんだ兄をもったものだと思ったけど、さすがにこんなに鈍いだなんて。それにガールフレンドができたらあきらめようと思っていたけど、ボーイフレンドだなんて持っての他だわ!)
「お兄ちゃんってその子のこと好きなの?」
「好きだよ」
「それは恋愛感情?友情?」
「うーん・・・どうなんだろうな」
「・・・」
 いつもなら「友情しかないじゃないか?みんな大好きだよ!」となるスタンが今回ばかりは悩んでいる。
(こんなのお兄ちゃんじゃない!)
「いや、リオンに告白されちゃって・・・」
「告白!?」
「キスされたんだけどさ・・・」
「キス!?」
「そんなに嫌じゃなかったからさ、これって好きって事なのかな〜」
「お、お兄ちゃん・・・」
「リリスはどう思う?」
 どう思う?ときかれても、まず相手が男だって事を認識し忘れてないか疑いたくなる。
「リオンって子は男よね?」
「ああ、そうだけど?」
「・・・なんでもない」
 本当にとんだ兄を持ったものだと再確認したリリスはまたため息をついた。
「お兄ちゃんの勘違いよ!いきなりだったからわからないだけよ」
「そうかな」
「そうそう!それにリリスにキスされても嫌じゃないでしょ?」
「もちろん。嫌がるわけないじゃないか」
「だから誤解よ!」
 あははは〜と空笑いしたリリスは自分がどれだけ空しいことを言っているのか気づかされてまた空しくなる。
「さ、寝ましょう!」
「そうだな」
「おやすみのキス、忘れないでね!」
「うん、おやすみ」
「おやすみなさい、お兄ちゃん!」
 交互にほっぺにキスするとそれぞれのベッドに入っていった。スタンはモヤモヤしながらベッドの中で寝付けないままでいた。

(リリスとはドキドキしないけど、リオンとはドキドキするのはどうしてだろ)















コメント
スタリリ?いえいえリオスタです(何