13、ストレイライズ神殿








「なぁ、リオン?」
「何だ」
 読書に勤しんでいたリオン。
 グレバムに神の眼が奪われてしまったスタン達。フィリアを救出し話を聞き終えた彼らはすぐにグレバムを追おうとしたが、外はもうすでに暮れかかっていたせいで一泊することになった。
「ここは何を信仰しているんだ?」
「アタモニ神だ。今ではセインガルド国王が認めた国教になっている」
 リオンは淡々と述べるとまた読書をし始めた。スタンは気にしない風でまた質問を投げかける。
「リオンは神を信じているのか?」
「・・・お前、僕が何をしているかわからないのか?」
「本を読んでる」
「わかっているなら、邪魔をするな」
「コミュニケーションは大事だ!読書なら今じゃなくても後でできるじゃないか!」
 妙に力の入った言い方だが実際スタンが話をしたいだけである。
「ディムロスにでも話しかけていろ」
「リオンと話がしたいんだよ」
 ある意味「ああ言えばこう言う」の状態になっているのに気づいてリオンはため息をついた。
「少しだけだぞ」
「うん!で、リオンは神を信じているのか?」
「・・・僕は神など信じていない」
「そっか、良かった。俺も信じてないからさ」
 意外な言葉を口にするスタンにリオンは少なからず驚いた。
「お前の口からそんな言葉がでるとはな」
「そうかな?母さんも父さんも奪っていったから」
「そうか」
 それ以上深く聞くことはなかったが、毎回笑っているスタンにもつらい過去があるのだなと、なんとなく頷いた。
「リリスとじっちゃんがいれば俺は幸せ、かな」
 誰ともなしに話すスタンはずっと笑っていた。
「だが、無理して笑っているお前に気づいていたとしたら、そいつらは果たして幸せだろうか」
 リオンはその笑顔に痛々しさを感じたのか、無意識に言葉が出ていた。
「無理なんて」
「そうじゃなければどうして僕にそんなことを話すんだ」
「それは・・・」
「まぁ、僕の知ったことではない。好きにしろ」
 干渉されるのがどんなに嫌なことか知っているリオンは敢えてそう言った。追求することが時に相手を傷つける。
「笑っていることはダメかな」
「・・・時には泣いてもいいんじゃないか」
「うん」
 そう言ったっきりスタンは話をやめてしまった。リオンはマイペースなやつめ、とまた本を読み出した。スタンに対して言った言葉を思い返したりオンは、心の中でひそかに笑った。
(僕が言える立場じゃないな、自分とて正直に生きては居ない)

 この時、ストレイライズ神殿の鐘が一度だけ鳴った。
 

 












コメント
暗い。まだあんまり仲は良くないです。