11、こんな運命
※『ソーディアン』関連のお話です。詳しくは、お題『ソーディアン』でお確かめください。
「リオン、どうしよう!」
『だから、僕はあんな怪しい女には近づかないほうがいいと言ったんだ!』
スタンは今、ルーティ、マリーと名乗る二人と共にセインガルド兵に囲まれている。ウォルトの屋敷に呼ばれ宿屋で一泊しただけだったのだが・・・。
『アトワイトのマスターがレンズハンターなどしているから・・・』
『世間知らずなマスターを持った貴方にも責任はあるわ』
文句言い放題の中、セインガルド兵をなんとか倒していくスタン。
「どこの誰だかわからないけど、倒して良かったのかな・・・」
《お前が仕官したがってたセインガルド兵だ・・・》
リオンの心の突っ込みも空しく、どうやら次の兵が現れたようだった。先ほどとは明らかに違う。どうやらリーダーのようだ。
「お前達、何をてこずっている」
「すみません、しかしこの者たちなかなか・・・」
「仕方がない、我が捕まえるか」
少し癖のある蒼い髪の男が前に出てくる。構えられた剣を見てアトワイトとリオンは驚いた。
『『シャルティエ!!』』
『アトワイトに、リオン坊ちゃん!?』
「何?リオンだと?(それは飛行竜で秘密裏に運んでいたものだ)返してもらうぞ!」
そういうと一気に攻めかけてきた。スタンも必死に抵抗するが、力の差が歴然だった。リオンを弾かれた後、シャルティエの先を喉元に向けた。
「つ、強い・・・」
「我とお前は乗り越えてきたものが違うのだ」
シャルティエをしまい、スタン達に縄をかける。スタンは圧倒的な差を見せた蒼い髪の男に城の地下牢に連れて行かれるまで見入っていた。
(強い!あの人はどこの人なんだろう)
地下牢に入れられたスタン達は何故だかすぐに釈放された。兵に言われ付いていった先は、謁見の間だった。
「ここ・・・セインガルド・・・!」
「あーんた、今頃気づいたの?」
仕官しに来るはずだった城に、こんな状況で来ると思わなかったスタンはかなりショックを受けている。
(と言うことはさっきの人はセインガルドの・・・)
ショックを受けているのもつかの間、王の話を聞いた一行は、ティアラ装着と共に神の眼を探すことになった。
「我の名はディムロス・ティンバーだ。お前達をしっかり監視しているからそのつもりでいろ。こっちはシャルティエだ」
『どうも、シャルティエと言います。ディムロスさんはこれでもいい人なんで』
「口が軽いぞ、シャル」
『あはは、すいません』
監視役として入った割には親しみやすい性格のようだ。スタンはますます尊敬の眼差しでみつめる。
「そうだ、スタン・・・と言ったな」
「はい!」
「任務の間リオンはお前に渡す。しかし、国のものだと言うことを忘れるな」
「ありがとうございます!リオン、またよろしくな!」
『ああ・・・』
「?」
何だか曖昧に答えたリオンはそれからしばらく口をきかなかった。
「リオン、どうしたんだよ」
宿に泊まることになり、部屋を割り当てられたスタンはリオンと二人だけとなった。
『・・・』
「戻ってきてから一回しか口きいてくれないじゃないか〜」
『あの男、嫌いだ』
口を聞いたかと思うと思わぬ言葉が飛び出した。
「あの男って・・・ディムロスさんのこと?」
『ああ、どこか気に食わない』
「何だよ〜いい人じゃないか〜」
憧れのディムロスのことを嫌いと言われるとスタンはちょっと拗ねる。リオンはその反応にまた機嫌が悪くなってダンマリを決め込んだ。
《あの男、何か臭うな・・・》
コンコン。
「あ、はい」
「ティンバーだが、ちょっといいか?」
『!』
「どうぞ〜!」
拗ねていたことなど、どこ吹く風で意気揚々と扉を開けに行く。
『スタン!』
ガチャリと扉を開けたとたん、スタンの視界は真っ暗になった。
「え?え?」
どうなっているのかわからないスタン。戸惑いながらされるがままになっている。とたん、髪に手を置かれた感触が伝わってきてやっと何をされているのか気がついた。
「で、ディムロスさん!?」
「驚いたか?いや、我の剣の相手をしないかと思って呼びにきたのだが。小動物をみるとつい抱きしめてしまう癖がな・・・はは、悪かった!」
《絶対嘘だぁああああ!!!》
「小動物じゃないですよ〜!!ディムロスさんが高いんです!」
「すまない、ところで相手はしてくれるのか?」
「それはもちろんです!あ、リオンもって来るから待っててくださいね」
「ああ」
バタバタと準備を済ませて、外へと連れて行かれるリオン。
彼の心の叫びがスタンに届くことはなかった・・・。
《どうしてこんなやつが監視役なんだっ!!僕に体があったらあの男など!!》
この日、最もリオンが剣であることを呪った一日だった。
コメント
続いちゃってますね。続けちゃいました。