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9、地下牢
「あーあ、全くついてないわ」
ウォルトの一件でセインガルドの地下牢に入れられたルーティ、マリー、スタン。ルーティは自分の事ながら悪態をつき、マリーは牢にもかかわらずあまり気にしてない様子だ。
「お前が悪いんだろー!」
壁を一枚隔てた牢からスタンが叫んだ。はっきり言って、仕官しに来たのにこの状況は最悪である。
「だからちゃっちゃと逃げちぇば良かったのよ」
「俺は関係ないの!」
「静かにしないか!!」
兵士に怒鳴られ黙る二人。しばらくの間三人とも黙っていた。
『あ、お疲れさまです!え?はい。今はおとなしくしていますが・・・。え?!あいつらを?』
なにやら牢の番をしているものが何かを話しているようだ。いち早くルーティは耳をできるだけ近づけて聞き耳を立てた。
「しかし、あいつらを釈放するとはどういった・・・」
「王の命令だ。ヒューゴ様に何か考えがあるらしい」
「じゃ、出さないわけには行かないですね」
やるぅー!と声を出したのはルーティだった。こんなにすぐに出してもらえるとは思わなかったからである。兵士達もその声を聞いて聞かれていたことに気づいた。
「うるさいぞ!」
「そこの女、釈放といっても自由になるわけじゃない。後で後悔してもしらんぞ」
兵士と話していた男がすっとルーティたちの視界に映った。
「あー!あんた、私達をぼこぼこにしてくれたガキ!」
「え?あ、ほんとだ!!」
文句を言うルーティの横でスタンがやっと話しに加わってきた。さっきまですっかり意気消沈だった彼だが、自分には敵わなかった相手が居ると聞いて立ち上がった。
「僕は子供じゃない」
「えーっと、えーっと名前なんていうんですか?」
「・・・」
スタンの場違いな質問にみんな呆れた。
「あんた、あんなのの名前なんて聞いてどうすんのよ」
「だって、あんなに強かったんだぞ!名前くらい知っときたいじゃないか!」
「答えてくれるわけ・・・」
「リオン、だ」
「え?リオンっていうのか?ありがとう!」
満足そうな笑みを浮かべてにっこりと見返してくる。ここが牢でなかったらなんの不自然も感じられないのだが、さすがにこの場では不自然だ。
「もう聞いているやつもいうが、お前達は時期に釈放される」
(ヒューゴが何をするかわからないがな。あの馬鹿そうなやつは喰われそうだ)
「そしたらリオン、もう一度相手してくれないか?」
「・・・」
「またいつかでいいからさ!」
「・・・お前が生きて居ればな」
「うん!」
リオンはその言葉を聞いたか聞かないかの内に牢屋から地上へ上る階段へと歩いていった。残されたスタンは次にあったら絶対勝ってみせると意気込んでいたとか。馬鹿馬鹿しくなったルーティは疲れたと言ってその場にへたり込んだ。
(あいつは・・・どうなるんだろう)
階段を上がる間そんなことをふと思った。ヒューゴが何かをするらしいが、詳しくはしらない。
(まぁ・・・考えても仕方がない)
そう言って自分の屋敷に帰っていくリオン。
リオンとスタンのこの約束が果たされるとき、互いの本当の別れが来るときだと知るのはまだ遠い。
コメント
『地下牢』っていうお題難しすぎです。